基本書・予備校本 個人的まとめ

法律を学習していく過程で使った基本書や予備校本についての感想を主観に基づいて書いています

民法総則(伊藤塾 呉明植基礎本シリーズ4)

 

民法総則 (伊藤塾呉明植基礎本シリーズ 4)

民法総則 (伊藤塾呉明植基礎本シリーズ 4)

 

 ひとつ前のエントリーで取り上げた本に足りない部分を付けたし、正確でない部分を書き換えるために使用している本のひとつがこちらになります

 司法試験向けのいわゆる予備校本ですが、必要なエッセンスがまとまっていて非常にわかりやすい本です

 

特徴

  • 判例・通説の立場で書かれている
  • 各種試験対策として必要となる論点が網羅されている
  • 冗長になりすぎない解説とわかりにくい個所はかみくだいた記述で理解しやすい
  • 重要度に応じて5段階でランク分けされている

   民法総則 | 弘文堂

 

長所

  • 記述、表現にあいまいな部分が少なく正確だと感じられる
  • 重要な事案やイメージを持ちにくい事例について図を用いて解説されている
  • 巻末に事項索引と判例索引がある
  • 「第1編 民法入門」に親族・相続を除く民法の全体像が約40ページにわたり概説されている
  • そのページは親族・相続を除く民法の最重要部分のみを抽出していて、しかもわかりやすい

短所

  • 少なくない誤植(弘文堂 訂正表・補遺 pdf
  • 概ねわかりやすいが、わかりにくい表現で書かれている箇所もわずかだがある
  • ランク分けが司法試験基準であるので、その他資格試験にもそのランクが対応しているかと言われたらちょっと怪しい
  • 民法は総則、物権のみ出版されており、債権分野の出版がない

最後に

 一度民法を勉強をしたことがある中級者向けだと思いますが、民法入門として総則から債権までの概説があり初学者にも配慮されています

 学部試験対策や各種試験対策にも使える良書だと思います

 

 

 

 

 

最新版 行政書士試験これ一冊だけで合格レベル到達本<2>民法・商法

 

最新版 行政書士試験これ一冊だけで合格レベル到達本〈2〉民法・商法

最新版 行政書士試験これ一冊だけで合格レベル到達本〈2〉民法・商法

 

 

まず、タイトルが長い!

というのはさておいて

 

行政書士試験受験用の参考書や問題集はいろんなところから出版されていますが、

司法試験予備校である辰巳法律研究所(以下「辰巳」とする)からも出版されました。

民法・商法・判例索引を含め、全517頁

 

特徴

  • 行政書士試験において出題されたまたは出題が予想される個所を民法・商法合わせ116のテーマに厳選している
  • 必要な知識だけをコンパクトにまとめている

www.tatsumi.co.jp

長所

  • スタンダードなテキストタイプが多い行政書士試験本の中で、各テーマの巻頭「一番大事なポイント」、本文の「簡潔な知識」と「図表」で構成されている
  • 辰巳『条文・判例スタンダード(条文・判例本)』や早セミ『逐条テキスト』(以下「逐テキ」とする)と辰巳『趣旨規範ハンドブック』(以下「趣旨規範」とする)の中間のような体裁になっている
  • ページ横に余白があり、書き込むことで自分でカスタムできる
  • 呉・民法総則では扱いが薄い先取特権についての記述がそれなりにある
  • 過去10年の択一のテーマ別出題頻度表、記述の出題テーマ一覧が付いている

短所

  • 「試験に出にくい部分は大胆にカット」と表紙にあるとおり、過去問で問われている部分も大胆にカットされている(条件・期限など)
  • 「一番大事なポイント」の記述の正確さに欠ける

 例:制限行為能力者制度について

「この制度は取引等を制限するものです。」

  としか書いていない 等

  • 間違ってはいないけど、そもそもその趣旨・定義を理解していないとかなりわかりにくい「なぜそう書いてしまったのか」という表現が目に付く
  • 「一番大事なポイント」において通謀虚偽表示について、一番大事なポイントである権利外観法理、表意者の帰責性について言及がない(本文に記載あり)
  • 「詐欺と錯誤の関係」において、二重効を否定している(通説は二重効肯定説)等、通説と異なる見解がある(二重効否定は判例 大判大5・7・5)
  • それぞれ足りない部分を付け加えるか、書き換える作業が必要になる

 

最後に

 監修が辰巳と提携関係にある行政書士予備校の先生だからかなのか、行政書士試験は司法試験ほど厳密な表現でなくてもいいということなのか、辰巳本体の長所である「記述が正確、厚い」を期待して初学者が手を出すのは禁物

 辰巳以外の予備校や出版社から出ているテキストも書店で一通り見て自分には使いにくいと感じていて、逐テキや趣旨規範の中間のような体裁のこの本は使いやすそうと飛びついたところ、正直「うーん」という結果でした

 逆に言えば、必要な部分は自分で付け加え、正確とは言えない表現を書き換えれば、自分にとって一番使いやすい本に化ける可能性も秘めていると言えなくもない、かな

 

 2017.06.21追記

「一番大事なポイント」以外の本文や図表が趣旨規範や条文・判例本の改変であったり、そのまま同じというページがあることに気付きました。

「一番大事なポイント」や本文の一部を改変した文章は監修者が執筆し、改変されていない本文は趣旨規範、図表は条文・判例本をまるっと利用したのかもしれませんね

 正確さに乏しい曖昧な記述もある割に、その反面やたら詳しい図表や注釈が厚い個所があったのも頷けます

 

2017.07.12追記

p23より

本人が相手方の詐欺に基づき代理権を授与した場合、代理人の善意・悪意にかかわらず授権行為を取り消せる(96条1項)

としか書かれていないのですが「あれ?第三者詐欺の問題はどうだったっけ?」と思いませんか?

『条文判例スタンダード』の該当ページを読むと「本人が相手方の詐欺に基づき代理権を授与した場合」と「代理人の善意・悪意にかかわらず授権行為を取り消せる(96条1項)」の間に、

乙(相手方)から見れば第三者の詐欺(96条2項)となり、乙が善意ならば授権行為が取り消せないのではないか問題となる

と書かれており、「(略)問題となる」以下には本書p23の「∵以下」 が記載されています

以上から、本書から太字引用部分が省略されていることがわかります

この引用部分があるとないとではわかりやすさに格段の差が出ることは明白なので、不足部分は自分で書き加えるという作業が必要になります

 

学習が進んでいる方はそういった必要はないのかもしれないけど、私には必要だなぁ

問われる論点が中心であること、ざっくりすぎる記述がされている内容であることから、少なくとも一度は民法を学習したことのある人向けかも

 

このブログについて

SNS全盛の時代に、あえてブログを作ろうと思ったきっかけ、

 

  • 使った基本書・予備校本の感想をTwitterの140字で書くのは無理がある
  • かといって、読書メーターブクログでも書きにくい雰囲気
  • 実際、読書メーターの登録ありですが、ジャンルが多岐にわたっていることから、勉強に使った基本書・予備校本だけをまとめるブログがほしかった

この3点です

 

 中立目線の書評ではなく、あくまで主観に基づいた個人的な感想です

広告を非表示にする